みなさんは日本で起きたこんな騒動をご存じでしょうか?
今から23年前、岐阜県富加町のとある団地でポルターガイスト現象が起きて日本中で話題になりました。
その団地は1998年に建てられた4階建ての公営住宅でまだ新築だったんですが、こんな現象が起きるようになったそうです。
・テレビのチャンネルが勝手に変わる
・ドライヤーの電源をコンセントに差していないのに勝手に動く
・食器棚から皿が飛ぶ
・蛇口から勝手に水が出る
などなど。
2000年10月13日に中日新聞がこの騒動にういて記事にしたところ、一気に有名になり、報道各社が押し寄せ取材合戦にまで発展しました。
テレビ朝日のニュースステーション(現在の報道ステーション)でも取り上げられ、ポルターガイスト現象が起きた住宅から中継も行われたんです。
結局、中継中には現象は起きませんでしたし、2002年にはポルターガイスト現象の原因は建付けの問題だったことが結論付けされました。
この騒動が本当に建付けの問題だったのか、それとも実は幽霊が原因だったのかは今となってはわかりようもありません。
そんな富加町のポルターガイスト、別名幽霊団地騒動をモチーフにした映画があるんです。
それが今回お話ししたいこの作品『N号棟』。
N号棟は考察型恐怖体験ホラー作品と銘打っている作品。
キャッチコピーも考察させる気満々で「これは夢か、幻か、現実か、それとも…」というものなんですが…
ってどれだよ!?
3つも4つも選択肢出すなよ!!
それもう犯人は10代から30代、もしくは40代から50代みたいなのと同じやん?
ま、それはともかく、実際にN号棟は非常に難解なストーリーだったと思います。
難解というか観客に解釈を丸投げしてるとも言えるくらい無責任な作品だったとも思えます。
今回はいくつかの謎を解説、考察してネタバレありで感想もお話ししていこうと思います。
この記事の動画版も作りましたのでぜひこちらもご覧ください!
▶N号棟配信中
N号棟トレーラー
N号棟あらすじ
女子大生の史織は死をひどく恐れる死恐怖症(タナトフォビア)に苦しんでいた。
母親は植物状態で長く入院しており、医師からは手の施しようがないと言われるような状態。
史織は孤独と恐怖から毎日友人との予定を入れずにはいられなかった。
元カレの啓太は史織の友人である真帆と付き合っていたが、史織の誘いを断り切れず、関係を続けていた。
ある日啓太は卒業制作としてホラー映画を撮ることを決める。
岐阜に幽霊団地として有名な廃墟があり、そこに真帆と行くという。
それを聞いた史織もそこへ一緒に行くと言い出し、2人に無理やりついていくことに。
団地へ到着すると、廃墟のはずなのにそこには大勢の住人が暮らしており、3人は混乱する。
いたずら目的と疑われ敵視されていたが史織が入居したいと言うと住人は態度を一変させ、急遽歓迎会を開いてくれるという。
歓迎会の最中、ホラー映画を撮りに来たと真帆が話すと、住人たちから笑顔が消え、部屋から去っていく。
あまりに突然の態度の変化にこの団地にはなにか秘密があると考えた3人は団地内を探索しはじめる。
そこへ住人の一人が団地のリーダーである加奈子を紹介すると言う。
加奈子は死後の世界、霊の存在を3人に説き、自分たちは霊と共に暮らしていると言い出す。
突如起こるポルターガイスト、死んだはずの住人が翌朝には元気に現れる。
不思議な現象に巻き込まれながら、史織は団地の真実に近づいていく。
N号棟感想
まず感想から話しますと、ミッドサマー感が強い映画…というかほぼパクリ…と思ったのが正直なところです。
多少設定が違うと言っても主人公は家族が不幸な目に合っていて、心の奥底で安らぎや癒しを求めているというのが共通しています。
舞台も団地とコミューンという違いはあっても女性のリーダーがいて、全員がカルトな行動をするところもそっくり。
謎のダンスが始まって主人公が巻き込まれるのも同じだし、住人たちが叫んでるシーンもそう。
性の儀式はさすがに日本の作品では無理すぎるようで、エロくキスしはじめたら周りで雑魚寝してた住人たちも急にキスし始めるっていう、なんでも共有しちゃうみたいなのもミッドサマーっぽい。
ミッドサマーを観た人ならほぼほぼ全員が思うはずです。
これパクリじゃね?って。
ミッドサマーと大きく違うのはそれぞれのシーンの意味がさっぱりわからないところです。
ミッドサマーに関して言えばそれぞれのシーンや描写、それこそ背景となる部分にすら意味があって最後には繋がるんですが、このN号棟は繋がりを感じられるシーンが本当に少ないし、ヒントになるシーンなんかも全然ないんですよね。
あったとしても相当深読みしないと難しいんです。
そもそもがあの住人たちは加奈子をなぜリーダーとしているのかもわからないし、仕切ってたおっさんも何者かもよくわかんないし、途中であったダンスも謎過ぎるし、教授のラストもストーリーと関係あったのかどうかもよくわからない。
個人的に一番不可解だったのは三谷さんちの男の子。りんたろうくん。
史織といい、啓太といい、なんでそんなに彼を気にしているのか、親近感もってんのかほんと謎です。
まあ団地の中のおそらく唯一の子供ですし、かわいい男の子だなぁくらいは思ったかもしれませんけど、史織がダンスで倒れて啓太と部屋に戻る(?)ときに、『りんたろうくん、行くよ…。』とか言って連れていこうとするのなんか違和感しかなかったです。
いや、彼は団地の子ですし、昨日きたばかりの大学生のおねぇさんに行くよって言われてもねぇ…。
逆に「え?僕?」って戸惑うくらいだと思うんですけど、りんたろうくんはそのままスーッとついていくし。
んでりんたろうくんが唐突に飛び降りたら真帆はいきなりぶちぎれてるし、啓太もめちゃくちゃショック受けてるし。
ここもね、ショックだとは思いますよ。
少しでも会話して仲を多少なりとも深めた間柄ですから。
でもあそこまでショック受けるかなぁ?
むしろあのわけのわからない団地の状況に恐怖する方が先にくるような気もするんですがね。(僕が薄情なだけ?(;´・ω・))
翌日にりんたろうくんが復活して啓太は感動したのかなんなのか真帆といっしょに団地族になってるし。
しかも死んだらハッピーダヨみたいなこと言ってんのも唐突過ぎ。
唐突ってことで言えばクライマックスで史織が住人にリンチされてんのに『みんなのことがすきぃ!』とか言ってんのもわけわかんなくてむしろ一周周って好きかもw
とにかく、つっこみどころが本当に多いし、まとまりもあんまり感じられなかったので個人的に言えばストーリーに入り込めない、感情移入しづらい作品という感じでした。
N号棟考察
さて、そんなN号棟の考察をしていきますが、僕はさっきこう言いました。
『ミッドサマーと大きく違うのはそれぞれのシーンの意味がさっぱりわからないところ》って。
この作品、意味が分からなくて当然なんです。
だってこれ、史織の妄想ですから。
なぜ妄想と思うのかというと、これはラストシーンに理由があります。
ラストは史織があの団地の部屋から凄い爽やかな表情で景色を見渡しているシーンで終わりますよね。
作中あの団地にはまあまあ多くの住人がいたはずなのに史織以外は誰もいませんでした。
そう、誰もいないんです。
あの団地には史織がただ1人いただけだったんです。
つまり住人は人間でも幽霊でもなくて、史織の妄想だったんです。
こう考える人もいると思います。
住人は幽霊だったんじゃないの?って。
史織も幽霊になったんじゃないの?って。
それはおそらく違うと思います。
なぜならリーダーの加奈子はこの団地は幽霊と共存していると話していました。
全員が幽霊なんて言ってないんです。
加奈子が言うことが本当なら生きている人間もいるし幽霊もいる団地ってことです。
なのにラストシーンには史織が一人だけ。
もし史織が幽霊なら幽霊住人も数名映っていたっていいと思うんですよね。
でも映っていなかったってことは結局、N号棟って話は史織の妄想の中の話だったというわけです。
加奈子も住人達も啓太も真帆もいなくてあそこにいたのは勝手に寝泊まりして大声で叫んで、脳内一人セラピー受けてスッキリした史織。
最後に自殺した史織が幽霊になったのは本当かもしれませんがね。
まあだから妄想オチって可能性が高いので何をどう考察しても『これ結局妄想だしな』という風になってしまうんですよね(;^ω^)
考察しがいがありそうでないのがN号棟…。
妄想だったというのはいったんおいといて、いくつかの疑問点は考察しておきましょう。
団地の住人たちは幽霊だったのか?
今言った通り、史織の妄想の中の登場人物ですから幽霊でもなんでもなくてそんなのはいなかったということです。
啓太や真帆は団地で史織に殺された?
啓太も真帆も実際に大学にいる人たちだと思うんですが、この幽霊団地には来てなかったかもしれません。
史織の妄想で一緒に来てただけで、本物の啓太と真帆は大学で楽しくやっているかもしれません。
脳内処刑される啓太と真帆はちょっと不憫w
教授はなぜいなくなったのか?
さすがに教授が妄想ということはないと思いますが、教授がいなくなったのは完全に謎です。
部屋に残されていた謎のマークから考えるに、りんたろう君のお父さんだったと考えられます。
でもりんたろう君は史織の妄想だから、もしかしたら史織は以前から教授に洗脳っぽいことをされていたのかも??
服の色は何を表していた?
意味がありそうだけどなさそうでもある(爆)
住人は白い服を着ていて、史織たちは普通の服装。
でも最終的には啓太も真帆も白い服を着ることになり、あそこの住人全員が白を身に着けていました。
ラストシーンで史織が赤い服を着ていたので、そこから考えてみると「赤」は幽霊で「白」は妄想だったのではないでしょうか。
三谷さん親子や加奈子は赤が混じっていたので妄想の中の幽霊?
ちょっと意味が分かんないですね(;’∀’)
史織は最後どうなった?
あの廃団地で自殺して幽霊になったのではないかと思います。
個人的には史織という主人公は、死が怖いのではなくて孤独が怖かっただけなのではないかなと。
最近多いと言われている空白恐怖症ってやつだったのかなと思ったり。
加奈子はひたすら死は怖くないだの恐れるものじゃないだの言ってましたし、最終的に史織はその言葉を受け入れて「住人みんながすきぃ!」とか言い出して自殺してました。
つまり本当に恐れていたのは死んで完全に孤独になること。
だから妄想とはいえ幽霊と共存している住人がいるN号棟は史織の理想郷だったのかもしれません。
まとめ
今回はN号棟の考察ということでしたが、考察しようにも結局妄想だしなぁという考えが頭にあったので『考察系ホラー』というわりには考察しがいのない作品な気もしました。
考察系の作品って言えばミッドサマーもそうですしエヴァンゲリオンなんかもそうですよね。
長く考察され続けている作品って細かいところまで作りこまれていて、物とか言動とかシーンとかに、謎を解き明かすためのヒントがちりばめられています。
それを調べたりしていくことで、あのシーンはこういう意味だったのかとかワクワクドキドキさせてくれる、人を惹きつける魅力ある作品だと思います。
そういう意味で言うとN号棟は娯楽作品とは言い難い作品だったと思います。
N号棟みた方はどう思いましたか?
ぜひ感想をコメントで教えてくださいね。
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