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ホラー

【呪詛元ネタ】モデルとなった台湾で起きた実際の事件『呉一家長女死亡事件』とは!?

としひろ
としひろ
どもこんにちは!としひろです。

今日は僕が大好きなホラー映画、台湾ホラーの大ヒット作『呪詛』の元ネタについてお話ししたいと思います。

まず今回の記事ですがいつもの如く動画も作りました!こちらもぜひ!!

当ブログの一番人気記事にもなってるNetflix映画の呪詛ですが、まだ観たことない方向けに改めて説明しますね。

2022年のファウンドフッテージモキュメンタリーホラー作品で、監督はケヴィン・コー。

金馬奨13部門にノミネートされるほど評価も高く、興行収入も日本円にして約8億円という台湾のホラー映画史に残るヒット作です。

あらすじを簡単にお話ししますと、まず発端は男2人と女1人が邪神大黒仏母を崇拝する村を訪れ、大黒仏母が封印されている聖地と呼ばれる地下道に潜入したことで強烈な呪いを受けることから始まります。

男2人はその場で死亡。

ルオナンという女性は身ごもっていたことで大黒仏母の加護を受けることができ、死なずに済みました。

しかし6年後、保護施設に預けていた娘を引き取ると、再び呪いと思われる怪奇現象が起こるようになり、それはやがて娘ドゥオドゥオの命を脅かすようになっていきます。

ルオナンはドゥオドゥオを助けるためにネットを通じてとあるお願い事をするのですが…というストーリーです。

 

映画の解説についてはこちらの記事をご覧ください。

 

【2023年12月更新】呪詛徹底解説&考察!ハンドサインや大黒仏母の謎、時系列も【エンディングのお城の意味とは】【Netflix映画】呪詛のネタバレ感想と解説と考察です。個人的な解釈ですので参考程度に読んでいただけるとうれしいです。...

で、この『呪詛』には実は元ネタとなる実話、事件があったんです。

今回はこの事件『呉一家長女死亡事件』について徹底解説していきます!

呪詛 元ネタとなった実際の事件「呉一家長女死亡事件」

2005年、台湾高雄市鼓山区。

ここに呉(ウー)一家がいた。

4人の子供がいるごく普通の6人家族。

呉夫妻はペンキ職工の仕事で生計を立てており、子供たちはすでに全員が20代となっていた。

29歳の長女は台北のレストランで働き、次女は看護師として働いて、長男は印刷業を、末っ子の三女は大学生だった。

呉一家は家に神様の像を祀って拝む、とても信心深い家族であった。

ある日、夫妻が廟(霊をまつる建物のこと)で崇拝していると、見知らぬ道士が訪れた

「家の中に不浄なものがある。」

と道士は言い、夫妻は道士を家の中に招き入れ、お祓いをしてもらうことにした。

そこで道士は

「祀っている三太子像の位置が悪いから移動しなさい。」

と提案をしてきた。

夫妻は従えば自分たちが末永く平安な暮らしをおくることができる、とその言葉を信じたと言う。

しかしそれが地獄の始まりだった。

三女の変化

道士の言うことを聞いたのに状況は悪化していく。

始まりは末っ子で大学生の三女が突如こう言い出した。

「私に哪吒三太子(なたさんたいし)が神憑った。」
※哪吒(なた)とは護法神のこと、三太子とは托塔天王(たくとうてんのう:毘沙門天が原型の守護神)の三男ということ。

続けて三女は「長女の命が危険である。早く連れ戻せ。」と、神のお告げを口にした。

母親は長女を連れ戻したが、家に帰り憑いた長女は眠ると性的暴行を受ける悪夢を見るようになってしまい、眠れなくなってしまった。

長女の豹変

長女が帰ってきてしばらく経った3月のある日。

長女に謎の電話がかかってきた。

その電話の詳細は不明だが、その後から長女の様子が豹変した。

まるでなにかに取り憑かれたようで別人のようになってしまった。

「私、観世音菩薩こそが人々を救うのだ。」

と叫びだしたり、自分で自分を殴るという自傷行為を繰り返したりした。

あまりの異様さに家族は長女を台湾・新竹県の五指山(ごしざん)へ連れて行く。

しかし長女の様子は何一つ変わらなかった。

家族全員が憑依される

家に元々あった祭壇でお祓いを試みると事態はさらに悪化してしまった。

まず父は自身を玉皇大帝(ぎょくこうたいてい)だと言い出し、母は西王母と自らを名乗りだした。
※玉皇大帝とは中国道教における最高神のこと。西王母は全ての女仙を支配する最上位の女神のこと。

次女もまた、自分は西王母の七人の娘・七仙女と言ったり、長男も私は臨済宗の高僧・済公(さいこう)だと言い出した。
※済公は実在の人物で現在でも中華圏で人気が高い。仏教を越えて道教的な民間信仰の対象として信仰されている。

家族全員が神や徳の高い僧侶が憑依するという異常事態となり、父親は今度は風水で見てもらい、お札をいくつか書いてもらった。

その時に法師からは符水(お札を浸した水のこと)を作って飲むようにと指示もされた。

符水は清めの作用が強く病気を治す効果もあると言われているが、呉家の場合、家族の異常行動が加速してしまった。

自傷行為はもはや当たり前で、それぞれが神主牌(しんしゅはい)を握りしめ、杖やこん棒などで互いを殴り合うようになった。

さらに火のついた線香を自分以外に押し付けて火傷させたり、熱湯を浴びせることもあったという。

この行動は本人たちにとっては互いの邪気を払うための行動だったらしい。

また、浄化作用があると言われる鹽米(えんべい;粗塩と白米を混ぜたもの)をまき散らしもした。

このような状況は約3週間続き、その間家族はみなほぼ飲まず食わずだったらしい。

不思議なことにその間はまったく空腹感を感じなかったらしく、魔除けになると言って尿を全身に塗ったり飲んだりもした。

最終的には大便を食べるまでに至った。

呉一家長女死亡事件の発覚

4月9日、長女がベッドの上で口から泡を吹き、動かなくなっているのを家族が発見。

既に手足は冷たく、息もしていなかった。

看護師である次女が心肺蘇生を試みるが長女は帰らぬ人となった。

しかし家族は救急車も呼ばず、その5分後には長女のそばを皆離れていった。

この時の家族は

「長女は死んだのではなく、邪霊が体から抜けたから動かなくなった。」

「一時的に霊魂が抜けているだけで時間が経てば復活する。」

という考えを持っていたそうだ。

父親は長女が一向に起きないことで違和感を覚え、ここでようやく近所の住人に助けを求めた。

泡を吹いて動かなくなっていたのを発見してから既に2日経っていた。

病院へ緊急搬送されたが長女はもちろん既に息はない。

体には無数のアザができており、不自然に感じた病院側は警察に相談し、検査を依頼した。

この通報により、あまりにも奇妙なこの事件が発覚したのだった。

なお、長女が倒れた日から6日後の11日、母親は長女の魂と会話したと後に語っている。

その際に長女は自分は既にこの世から去っていると話したという。

事件発覚後の家族

残った家族5人の様子は常軌を逸していた。

一旦正気を取り戻してはいて、また何かに取り憑かれてしまうことをひどく恐れていた。

そして警察の事情聴取では「長女はまだ生きている、死んでいない。」と言ったり「長女は邪霊に取り憑かれて死んでしまった。」と口をそろえて言っていた。

また、警察は家族の体の状態にも驚愕した。

外見はいたって普通なのだが、長女と同じく無数の青あざに線香を押し当てたドット柄のような火傷跡がいくつもあった。

さらに現場検証ではその奇怪な光景にも驚かされたという

玄関に赤い線香を吊るしていたり、窓という窓にはお札を張り付け、窓の外には干された黒い服が何枚もあった。

そして祭壇脇の壁は線香によって黒く燻された状態だった。

ちなみに長女の司法解剖の結果、無数のあざを作った暴力行為は致命的なものではなく、多臓器不全が死因という見解が示された。

それは何日も食事をしなかったのが原因だった。

事件の原因はなんだったのか

事件発覚後、原因については多くの憶測が飛び交った。

三太子の像の位置を動かしたことで風水に悪影響がでたのではないか。

呉一家は三太子以外にも多くの神様を信仰していて、それが邪悪な霊や神様が入り込む隙間を与えてしまったのではないか。

噂は他にも、それまで家に祀っていた祖先の神主牌を全て捨ててしまったことが原因だったというのもある。

風水に詳しい人は(呉家は)悪霊が集まるような『凶宅』という形ができてしまっていたという。

近隣住民によると、風水に熱心な呉一家は以前にも家の風水を霊能力者を呼んでみてもらったことがあったそうだ。

その時、霊能力者は家に入った途端「邪悪な霊が充満している。」と話したらしい。

その後、5人は精神鑑定を行った。

結果は感応性妄想障害。

簡単に言えば集団妄想だった。

精神疾患はないとされ、検察は遺棄致死傷罪で5人を起訴。

だが、5人は無罪となった。

長女の死因が多臓器不全によるもので外的要因ではなかったからである。

その後呉一家

近所の人々が弔意を表し、邪霊を祓うための費用も工面してくれたことで、呉一家は普通の生活に戻ることができた。

残された多くの謎

事件は多くの謎が残り、全ては未だ解明されていません。

ここでは個人的に疑問を抱いた部分をお話ししていきます。

訪れた道士は何者だった?

初めに呉家を訪れたという道士。

この道士の「三太子の像を動かしなさい。」という一言が全ての始まりだったと思います。

きっかけだと考えられる人物だと思うし、家族になにか洗脳じみたことをしたと考えれば、警察がその人を探して話を聞いてもいいのではないでしょうか。

この道士はいったい何者だったのでしょう。

本当に人間?それとも…。

なぜ神々が憑依した?

父親の玉皇大帝、母親の西王母、長女の観世音菩薩、次女の七仙女、三女の哪吒三太子。

力の強い神々が本当に憑依したのでしょうか?

もし本当に神様がいるのだとしても、一人間に対し憑依することなどありえるんでしょうか?

家族の危険を話したのは三太子が憑依した三女のみ。

父も母も長女も次女も神がかりしたのに、その行動は意味不明なものばかり。

もしかしたら実際にはなにかをしていたのかもしれませんが現在明かされている事件の詳細をみるかぎりは殴り合ったり、線香や熱湯で火傷させたりしただけ。

三女に三太子が取り憑いたのは理由として理解できますが、他の人たちに関しては僕個人としては妄想としか考えられません。

しかしそうなるとやはり疑問が残ります。

妄想状態で自分たちの糞尿を飲み、食べることなんてできるのかということ。

まともな状態なら体が受け付けないはずですし、そもそも空腹状態で3週間近く過ごすことなど不可能。

なにかしら食べたくなるはず。

そこで自分たちの糞尿を飲んで食べるなんて普通じゃないわけです。

家族全員、特殊な性癖を持っていた可能性も…いや、さすがにそれはないなw

なにかが憑いた可能性は高い。

だが、それは神ではなかったのかもしれません。

神ではなかった長男

長男だけなぜか済公という実在の人物が憑依されています。

済公は実在の人物ではありますがその存在は伝説的な存在として扱われるほどで、信仰の対象にもなっています。

なぜ長男だけ済公が憑いたのでしょうか。

これは僕のちょっとした想像、妄想となりますが、邪悪な霊たちに取り憑かれた家族を救うために、済公は本当に長男に憑依していたのではないでしょうか。

殴り合ったりしたというのももしかしたら悪霊が憑いた両親と長男の戦いだったのかもしれません。

そう考えるともはや映画みたいですね(笑)

もう1つの可能性としては家族の憑依現象は妄想ではなく思い込みで、長男は済公しか知らなかったのかもしれません。

まとめ

あまりにも意味不明な事件のため詳細が明らかにされることはまずないでしょう。

だからこそ怖いし、興味深い事件でもあるのだと思います。

この事件からケヴィン・コー監督は映画『呪詛』を作りだしたと言います。

実際の事件と重ね合わせて呪詛を観たらまた違ったおもしろさが味わえるかもしれませんね!

呪詛をまだ観ていない方は非常におもしろいホラー映画ですので、ぜひ観てみてくださいね!

では今回はここまで!