今回の記事の動画も作りました。
こちらもぜひ!!
先日のオーディション紹介の記事は読んでいただけましたか?
まだという方は今回の記事と合わせてぜひこちらも読んでみてくださいね!
さて今回はこのオーディションの解説、というかほぼほぼ山崎麻美の解説となります。
今回はネタバレありでお話ししていきますのでネタバレされたくないという方はブラウザバックでお願いします。
山崎麻美がオーディションに参加した理由
麻美はそもそも本当に女優になりたかったんでしょうか。
家で文字通りなにもせずずっと青山からの電話をただ待っていたヤバい女ですよ?
演技の練習をしていたかもあやしいもんです。
映画で主役になりたい人間とは作中見ていてもとても思えませんよね。
麻美はオーディション参加の書類に
私なんかが受かるはずもない
生きることは死に近づくこと
そんな言葉を書いています。
ターゲットをピンポイントで狙い撃ちする、まるで上手いライターのような文章です。
最初から受かることを目的としていないんですよね。
目的は別。
麻美の目的は青山のようにこの言葉に反応する男を見つけることだったんです。
青山はオーディションされる側だった
メンヘラ臭全開の言葉に心打ちぬかれちゃった男、青山。
クライマックスの中に女優候補が座って質問に答えていた椅子に青山が座って答えているシーンがありました。
あのシーンが意味するところはオーディション主催者は山崎麻美で、受かったのが青山だったとも考えられます。
もしかしたら麻美は他のオーディションにも参加していて、いろんな男を見定めていたのかもしれませんね。
麻袋の男
その中の一人が麻袋の中にいた男。
麻美の部屋にあった麻袋。
なにかが入っていて、時々もそもそと動きます。
この中身はエースレコードのプロデューサー芝田と思われます。
芝田は指三本と舌と片耳を失っており、麻美の吐しゃ物で命を繋いていました。
彼はおそらく以前に麻美に興味を持ち、交際をしていて、麻美の拷問の犠牲者になったのだと考えられます。
いや、麻美「が」興味を持ったという方が正しいのかも??
山崎麻美はなぜ青山をバラバラにしようとしたのか
幼いころから愛情のない環境で育ってきた麻美は、バレエスクールの変態島田と出会い、そこで完全に壊れ、歪んだ思考で成長していきました。
子供の頃に愛情を感じられなかったために大人になって愛を貪欲に求めるようになります。
しかし麻美は普通の愛され方では愛を実感できないんです。
これは変態島田のせいかと思われます。
普通の男女は肉体の繋がり(セックス)で愛を確かめ合いますし、それで満足する人がほとんどですよね。
でも麻美にとってセックスなんて小学生の男子女子で手を繋ぐ程度の意味しか持ちません。
麻美が求めるのは心の繋がりであり、愛の独占なんです。
完全に自分だけを愛しているというのがないと満足しないんです。
これはまさに文字通りの意味になります。
家族愛だとか友愛だとか動物愛だとか余計なものは許しません。
ではどうやって心と心の繋がりを確かめるのかと言うと、それが拷問なんです。
だから拷問する、という思考が既に狂ってるわけですが…。
青山を拷問しているときにこんなセリフを言っています。
「言葉なんか嘘だけど、痛みだけは信じられる。
うんと辛い目にあった時だけ、自分の心の形が分かる」
青山を拷問することで本当に私を愛しているか確かめることができるという風にも捉えることができるんですが、この麻美自身の言葉の通り、これも実は嘘なんじゃないかなとも思えます。
だって拷問されたら誰でも助かりたいがために心から愛しているなんてうすっぺらい言葉を吐きます。
そんな言葉を麻美は信じるでしょうか?
いや、きっと信じることはないし満足もしないと思います。
だから麻美の拷問というのは愛を確かめる行為じゃなくて強制的に自分だけを愛する男に変える儀式だったんじゃないでしょうか?
そしてその儀式は麻美が生きている実感を感じる瞬間であり心と心が通じ合えると感じる瞬間。
あの残酷な行為こそが麻美にとっての最高のセックスだったわけです。
バーのママはなぜ殺されたのか
エースレコードの芝田が麻美に監禁されたのと同じころ、バーのママが殺されました。
その殺され方は体がバラバラにされるというおぞましいもの。
その遺体があったところには別の人間の指3本と舌と片耳が落ちていました。
これは芝田の物だと考えられます。
バーのママはなぜ殺されたのでしょうか。
芝田の体の一部を捨てるため?カムフラージュのため?
それにしては大掛かりすぎに感じます。
僕はこのバーのママが芝田と良い仲、男女の仲だったのではないかと考えます。
先にも言ったように麻美は完全な独占しか許しません。
麻美にとってバーのママは邪魔者でしかなかったんでしょうね。
山崎麻美は悲劇のヒロインだった
こんな激やば女の麻美なんですが作中本心を語っているシーンがあります。
それは青山の夢の中。
麻美が、あなたのプロポーズお受けします。映画じゃなくて本当のヒロインになれたと言って喜んでいたところ。
僕は青山の夢の中のセリフだったけど、麻美の本心だったんじゃないかなと思いました。
オーディションに応募したのは愛が欲しいため(男を探すため)なんですが、その中には自分のこの不幸な現状から抜け出したいという思いもあったんじゃないでしょうか。
ただ男を見つけて解体するのではなく、自分を温かく包んでくれる人と出会いたかった。
そう思ったのはラストシーンの瀕死の麻美のセリフからです。
私ずっと電話を待っていたんです。
またこうしてお会いできるなんて思ってなかったので、すみません浮かれてしまって。
今までずっと一人で頑張ってきたけど私には相談できる人がいなかった。
青山さんみたいに、暖かくて、私の気持ちを包んで、分かってくれる人に会ったのは初めてです。
死ぬ間際に言ってるセリフですからきっとこれ本心なんだと思うんですよね。
で、青山は本当に優しく麻美を包み込んでくれるような優しい男でした。
実際途中までは良い関係だったと思います。
青山と麻美はあのままの関係ならきっと幸せになれたと思うんです。
でも最後、壊れていた麻美は幸せを手に入れることはできなかった。
誰よりも強く愛を求めているのに最後は必ず自ら幸せを壊してしまう山崎麻美。
あまりにも悲しい女性じゃないでしょうか。
まとめ
というわけでオーディションの解説考察をしてみました。
悲劇のヒロインと勘違いしたおっさんのぶっ壊れたラブロマンス映画。
考察してみるとただ怖がらせるだけのホラーじゃなくて怖さの中にも深みのある非常におもしろい作品だったと思いました。
こういうホラーがもっとみたい!