恒松祐里が主演の都市伝説ホラー映画「きさらぎ駅」みなさんは見ましたか?
前半の一人称視点で話が進むところ、予算がたりなかったとしか思えない雑なCG。
後半の強くてニューゲーム感のあるギャグパート、そしてラストの衝撃展開。
ポイントポイントでみるとおもしろいのかおもしろくないのかよくわからない作品なんですが、実は結構まとまってて、都市伝説をうまくふくらませてたしテンポも悪くなかったし、良い作品だったと思います。
この映画、異世界ホラーで化物みたいなのがでてたりゾンビみたいな人間でてきますけど、正直あまり怖くはありません。
だからそこ(どきどきホラー)をポイントとしてみるときっとイマイチな評価になってしまうかと思います。
でも観終わった後、実はめっちゃ怖い奴が1人いることに気づいたんです。
それは生還者の純子。
こいつが一番えげつないし、ヤバくて怖かったんです。
今回は映画きさらぎ駅で一番怖い登場キャラクター、葉山純子がなにをしたのか、きさらぎ駅という異世界についての考察をお話していこうと思います。
この記事の動画版も作りましたのでこちらもぜひご覧になってみてくださいね!
映画きさらぎ駅オフィシャルサイト
映画きさらぎ駅公式予告
純子の真の目的
純子が春奈のインタビューに応じたのはなにもきさらぎ駅という異世界があったというのを信じてほしいという理由じゃないんです。
純子の目的はきさらぎ駅で出会った宮崎明日香という女子高生を助けること。
これが大前提なんです。
純子が明日香を助けるためにしたこと
純子は宮崎明日香を助けるために、きさらぎ駅に行くような人間を探していました。
好奇心があり、行動力があり、正義感のある人物を探していたんですね。
重要なのは表面上は自分より困ってる他人を優先するような、でも最後の最後は自分を優先するという偽善者的な人間が好ましかったわけです。
ラストシーンで探偵を使って春奈を調査していたことがわかりましたが、明日香を助けるための人柱にうってつけだったのが春奈だったわけです。
純子は何かしらの手を使って春奈にきさらぎ駅に興味を持たせ、自分から純子に取材を申し込ませるようにしました。
インタビューを受けた純子はきさらぎ駅の中での出来事を全て答えましたが、ほんのちょっぴり嘘を混ぜました。
もしかしたら2度とこちらの世界には戻って来れなくなるかもしれない恐ろしい嘘を混ぜたんです。
純子がついた2つの嘘
1つは、話を聞きに来た人のほとんどが話を信じなかったというもの。
そしてもう1つがこちらに帰ってくる方法。
1:話を聞いた人のほとんどは信じなかった
話を聞きに来た人のほとんどが話を信じなかったと言っていましたが、純子は本当は何人もきさらぎ駅に送り込んでいたのかもしれません。
この説には1つの根拠があります。
ラストでこちらの世界に戻ってきた明日香を純子が出迎えました。
なぜあの日、あの場所、あの時間に純子はいたのでしょうか?
あんな偶然あるはずがないですよね。
自分がこちら側に戻ってきた場所と時間は一つの参考になるかもしれませんが、もしかしたら純子の時はたまたまあそこだったのかもしれませんし。
おそらく何人もきさらぎ駅に送り込んでいて、その結果、帰ってくる場所と時間もだいたい理解していたから、明日香を出迎えることができたのでは無いでしょうか?
2:帰れるのは最初に扉に入った者
純子はインタビューの時は、明日香に最初に扉に入らせたと言っていました。
しかしこの話は春奈がきさらぎ駅に行った時のための純子の罠でした。
実は純子が最初に扉に入り、元の世界に戻れたんです。
春奈はこの嘘を信じてしまい、明日香を先に行かせたことで、自分は明日香の代わりに異世界に縛られることとなりました。
純子はこの2つの嘘で春奈を犠牲にして、明日香を助け出すことに成功しました。
純子の目的は明日香を助けることだけじゃなかった?
明日香を助けるためには手段を選ばない純子ですが、実は純子の目的は明日香を助けるだけじゃなかったのかもしれません。
その証拠が壁一面に貼ってある切り抜き新聞。
冒頭で純子の家に来た春奈が新聞の切り抜きが部屋に貼られているのを見つけます。
この切り抜き新聞をアップにしてみると…
どれも行方不明者が出たという記事なんですが、記事に出ている地名は比婆山、三岐峠という実際にある地名と架空の地名と思われる五月が原。
五月が原はおそらく岐阜にある五色が原の森(ごしきがはらのもり)がモデルになっている地名だと思います。
比婆山(ひばやま)は広島、三岐峠(みきとうげ)は岐阜、愛知、三重の三つの県にまたがるところ。
つまりきさらぎ駅がある、きさらぎ駅と繋がっていると思われる静岡県浜松市とは全然関係のない土地の記事なんです。
新聞記事の内容まではわかりませんが、きさらぎ駅へ行ってしまったと思われる行方不明者の記事を集めていたのだと思われます。
そんな失踪事件の記事をなぜ集めていたのか?
おそらく宮崎明日香を含む、異世界にいたメンバーも助けたかったのではないでしょうか?
純子は助けたい宮崎明日香以外の名前は知らなかったはずですし、それらしい行方不明者の記事は片っ端から集めていたんでしょう。
でも明日香が戻ってきてすぐに切り抜き新聞の処分を始めたので「ついで」くらいの目的だったのは間違いなさそうです。
異世界の半日が現実で7年は嘘だった
純子はきさらぎ駅から脱出できましたが、現実世界ではなんと7年も月日が経っていました。
たった半日の出来事が7年というのはまるで浦島太郎みたいですよね。
異世界の時間はゆっくり進んでいるのかもしれませんが、もうひとつ別の可能性があります。
それは純子は何回もあの異世界で死に戻りしていたということ。
きさらぎ駅のルールはこんな感じ。
・死に戻りループする世界である
・そのたびに記憶がリセットされる
実は純子は何回もあの世界で死んでいて、その度に電車で目を覚ますところに戻されていたんじゃないでしょうか。
作中では元ネタの都市伝説で書かれたような携帯で掲示板に書き込んだというシーンはありませんでした。
そして切り抜き新聞にあった記事で「怪文書がメールで届く」というのがちらっと見えていました。
これらを合わせて考えると、純子は何回もループしていて、その中のどこかで掲示板に書き込んでいる回があったのかもしれません。
あの世界で出会った人たちはみんな携帯を持っていましたから、どこかの世界線で誰かがメールを送っていて、たまたま現実世界に送れたけど、異世界から現実世界へのメールは文字化けしたり、意味をなさない文章に変わってしまったと考えられなくもないです。
とにかく、現実世界と異世界の時間の流れが同じと考えるなら、純子は7年という長い年月、あの世界に縛られ続けていたのかもしれません。
涼宮ハルヒのエンドレスエイトみたいですね。
そう考えるとあれもかなりホラーかもしんない。
まとめ
というわけで映画きさらぎ駅の考察をしてみました。
作品自体はなんとも微妙なクオリティなんですが、この純子という登場人物に関して考察してみると物凄い怖いキャラクターということがわかりましたし、異世界のゾンビとか頭爆発なんかよりよっぽどホラーでしたね。
ラストに純子はこうつぶやきます。
「ありがとう。あなたは役目を立派に果たしてくれた。」
この最低最悪な恐ろしい一言に純子の人間性が集約されています。
純子は春奈を人柱にするために探偵にどんな人間かをあらかじめリサーチし、インタビューに答え、行動を促し、そして思った通りの行動をさせたわけです。
純子の嘘はあまりにもうまく、あまりにもえげつないものでした。
この考察からきさらぎ駅に興味持った方はぜひご自身の目でチェックしてみてください!
ではまた次の記事でお会いしましょう!