今回の記事の動画版も作りましたのでこちらもぜひ観てね!
今回は今の日本人にぜひ観てほしい、いや観るべきシチュエーションホラー映画『プラットフォーム』の解説をしていきます。
ちょっと政治の話なんですがね、特にこの数年、貧富の差、社会格差が広がっていますよね。
物価がどんどん上がってるし税金も上がってるし、なのに給料は安いまま。
だけど投資家だったり政治家だったり一部の富裕層は逆にどんどんお金持ちになってる。
富裕層の払っている税金の額が一般の人たちとはまるで違うから優遇されるってのはあるんでしょうけど、それでも増税の連発はきついものがありますよね。
少し前の話だけど岸田首相が給与を46万上げようとしてて猛反発くらってましたね。
もともとかなりの年収ですよ。(首相の年収はおおよそ4000万)
日本のこんな状況下でよく自分の給料上げようと思ったな!?(;゚Д゚)
結局それについては返納します?みたいなこと言ってましたけどね。
つまるところ、上の立場にいる人間は美味しい思いをしつづけ、下の人間は苦しみ続ける社会構造があるんです。
まあでもね、これ日本に限った話ではないんです。
アメリカもインフレやばいですし、どっかの州のビッグマックセットが2700円になったってこの前Yahoo!ニュースでやってました。(2024年春ごろの話)
ニューヨークのラーメンも一杯5000円になってるそうですし、いくら時給が高くなってるとはいえ生活するの本当に大変。
世界中で国民と政府の間にふかーいふかーい溝があるように感じます。
日本では国民がもっとこうしてほしい、こうすればいいじゃないかと目いっぱい叫んでいても、政府はまるで頓珍漢な政策をするばかり。
低所得者にばかり現金ばらまいたり。
低所得者って高齢者含んでるっていうかほとんどが高齢者なんじゃないですかね?
何故高齢者ばかり美味しい思いをするかというと、高齢者の声が政治家に良く届くから。
つまり若い人の政治への関心のなさ、政治への参加をしないから。
簡単に言えば選挙へいかなさすぎが問題なわけです。
日本の選挙の投票率は現在50%程度。
でも若い世代、20代前半なんて30%程度らしいですよ。
逆にアメリカなんかでは若者でも50%を超え始めてるとか。
これからの日本を背負って立つ若い人たちが現状に納得いかない、僕ら若い世代のことをもっと真剣に考えろ!と伝えたいのなら選挙にいかなくてはならないんです。
そうしないとまるで声は届かないんです。
ネットで愚痴っててもダメ。
その声を届けるために正しい行動をしないといけないんです。
で、ここからプラットフォームの話に入ります。(前置き長い!)
プラットフォームはそんな上級の人間だけが富を独占し、下級の人間はカスすら食べることもできない極貧生活を強いられる現在の社会の縮図を描いた作品となっています。
映画プラットフォームあらすじ
穴と呼ばれる施設。
ここは上下に無数の階層がある縦長の施設で、中央には巨大な穴(プラットフォーム)があり、食事がその穴を通じて上層から下層へと降りていく。
半年間ここの生活に耐えることができれば外での生活を有利にすることできると知った主人公のゴレンはこの施設に自ら入ることを選ぶ。
しかしそこは想像以上の地獄で、生き残りをかけた過酷なサバイバルを強いられるのだった。
プラットフォーム作品情報
公開日 2019年11月(Netflix配信は2020年3月)
監督 ガルテル・ガステル=ウルティア
キャスト
イバン・マサゲ
ソリオン・エギレオル
アレクサンドロ・マサンカイ
受賞
トロント国際映画祭 ミッドナイトマッドネス部門 観客賞
シッチェス・カタロニア国際映画祭 ファンタスティック・コンペティション部門
最優秀作品賞
観客賞
視覚効果賞
市民ケーン賞/新人監督賞(ガルダー・ガステル=ウルティア)
プラットフォーム感想(ネタバレあり)
観終わった後に
え?ここで終わりなの!?
と思いました(;^ω^)
凄くヨーロッパらしい作品だと感じました。
そんなにヨーロッパ圏の映画観てないから偏見かもしれませんけど(;^ω^)
メッセージ性が強い作品なのでちょっと説教じみた感じになっていて、観る者に考えさせる作風が嫌いな人はまったく合わないかもしれません。
キューブのようなシチュエーションスリラーホラーを期待して観たら、現代社会の階級社会とか貧富の差とか食糧問題について問題提起してて、ラストは「きっと伝わるよ…(どこかに去っていく)」で終わるので、スッキリとした終わり方してませんし。
え?ちょちょちょ、あんたどこいくのよー!そっちにはなにもないよ!出口は上!子供ほったらかしてどうすんのよ!あんたもいいからそれにのって上いきんしゃい!
って関西のおばちゃんなら言いそうな(偏見でスマソ)状況で終わるのは本当にスッキリしなかった…。
でもこのプラットフォームの設定は本当にうまい。
上の階は食べる物に困ることはなく、なんでも食べられる。
でも下の層に行けば行くほど残りは少なく、ある程度下まで行ってしまうとカスも残らない。
その状況はまさに地獄。
人を殺してでも生きたいという人間の生存本能を見事に表しています。
自分さえ良ければいいという考え方が正しいのか、それとも人はもっと協調性を持って生きた方がみんなが幸せになれるんじゃないか?という考え方が正しいのか。
観客に解釈を委ねているので、この辺りも好き嫌いはわかれそうですね。
僕個人としてはすっごい楽しかったとは言えませんが、こうやって考察していくと、でもやっぱりおもしろい映画だったなと改めて感じられた作品でもあります。
ところどころかなりグロイのでグロ耐性がないときついかも…。
プラットフォームストーリー解説
まず裏の意味を考えずに作品の設定どおりに解説してみます。
観たまんまのストーリーの解説です。
穴は半年間過ごせば認定証がもらえます。
これをもらえると外での生活がとても有利になるそうです。
主人公のゴレンはこの認定証がほしくて穴に入るんですが、ここは地獄のような施設だったわけです。
何もない空間、知らない人とずっと一緒、月に1回階層が変わる、下に行けば行くほど地獄。毎日の食事だけはまさに天国、
豪華絢爛といった感じで、とんでもない量が綺麗にもりつけされています。
謎だらけのこの施設は結局何だったかと言うと、特殊な環境下で人々の連帯感は生まれるのか、という実験をしていた施設だったんですね。
プラットフォームの食事は実は量もしっかり計算されていて、上の者が下の人たちのことを考えて適量をとればきちんと全員に行きわたる食事量だったんです。
でもこの施設が運営されて以来、その実験がうまくいったことはなく、上の者は下の者を思いやるような気持ちがでることもありませんでした。。
ゴレンは最終的にこの穴のルールを変えようと奮起して、穴で起きている現状を運営に伝えようとするんです。
その手段がパンナコッタであり子供だったんです。
でもパンナコッタだけが残っていても髪の毛が入っていたからたべてもらえなかったくらいにしか考えてもらえません。
実際調理担当の偉いおじいちゃんはどうなってんだ!誰の髪の毛だこれは!ってかんじで怒ってるだけでしたよね。
穴でなにか異変が起きているなんて察する描写もありませんでした。
このシーンは序盤で描かれていたシーンですが、実は子供が上に行かなかったパターンの別エンディングだったのではないかと言われています。
で、メッセージとして子供を上に行かせることにしたゴレンは子供に望みを託し、自分は最下層で消えるというラストになったんですが、なんで自分も一緒に行かなかったのかという疑問がでてきます。
メッセージを伝えるなら一緒に行って、こんな子供が穴にいるんだぞ!管理はどうなってんだ!って。
食事もまともに下まで来ないぞ!もう少し考えたらどうなんだって。
そういえばいい。。
でもしなかった。
ゴレンは最下層に残りました。
というかどっかいっちゃいましたねw
なぜかというと、ゴレンは既に死んでいたからです。
実は子供も実際にはいなくて、いるはずのない子供がいた!?とか言ってましたけどやっぱり本当はいなかったんです。
そして最下層333層も存在していなくて、どこまで下があるかわからない施設だったんです。
じゃああのクライマックスはなんなのよってことなんですが、あれはゴレンの理想を描いていただけだったんです。
夢落ち、妄想オチ、そんな感じですね。
これはインタビューで監督がそう答えていました。
ゴレンの命を懸けた最後のメッセージは伝わったのかというとそれはひ・み・つ♥ って感じで、映画は終わりましたけど監督が言うには結局メッセージは伝わらなかったとか何とか。
そんな記事を見たような気がするんですがちょっとみつからなくなっちゃったんで違うかもしれません。
まあでも僕はやっぱり伝わらなかったんじゃないかなぁと思いますけどね。
プラットフォーム裏設定の解説
穴という施設の正体
連帯感の研究のための施設なんて言っていましたが実は明確な設定は明かされていません。
聖書からのアイディアもあって、333階層あるっていう話もありますが最下層はないと監督はインタビューで答えています。
そんなとても地球上に存在するとは思えないような施設、穴なんですがこれは現代の資本主義社会の縮図、格差社会を表しているのではないかと思われます。
上のもの、権力者とか上級国民は不自由なく、好きなものを好きなだけ得ることができる、食えることができる。
しかし下の者、中流階級、下流階級は残りカスがあるならまだましで、カスすらない場合は食い物じゃないものまで食わなくては生きていくことはできない。
落ちることは簡単で上ることは困難を極める。
まさに現代の社会って感じですよね。
連帯感なんてこの社会にそんなもの、ありはしませんよね。
今世界の上位1%の超富裕層の資産が世界全体の個人資産の役4割を占めているんです。
たった1%ですよ?
ちなみに上位10%だと75.6%を占めるそうです。
そして下位50%の資産は全体のたった2%。
もうめちゃくちゃな数字ですよね。
超富裕層の人たちが思いやりとか連帯感を考えたなら貧困で苦しむ人たちはもっと少なくなります。
でもそんなこと彼らはしないし、これから先もそんなことありえない。
だって彼らは飛行機とかロケットにのって地球全体をみているようなものですから
地上を歩いていている人たちのことなんて気にしないし見えもしないんです。
ゴレンが下層のやつらにはクソの脅しが効くけど上の連中には効かない、クソは上にはいかないからななんていってました
権力者に脅しはきかない。
脅そうものならあっという間に抹殺されてしまうかもしれませんしね。
力こそパワーってやつですね。
今の社会の現実は非常に厳しいものであることを少し極端に穴という施設で表しています。
穴のもうひとつの意味
僕はこの穴は 人生を表している とも思うんです
自分の人生にはいろんな人が現れますよね。
両親、同級生、年上の人、年下の人、趣味嗜好もまるで違う赤の他人がたくさん登場します。
その中でも話したりする人はごくわずか。
穴の同居人、上の層、下の層の住人は強いて言えば隣人みたいなものですね。
プラットフォームという作品は人それぞれの人生模様を描いた作品だったのではないかとも思えるんです。
認定証とはなんのことだったのか?
ここを半年間耐え忍べば、みなに認められるというのは
いわゆる成功者、勝ち組になれるということを差しているのではないかと。
トリマガシが1年近くいても外に出れず、認定証の存在も知らなかったのは犯罪者は勝ち組にはなれないという厳しい現実を表していたのかもしれませんね。
成功者はみんな光って見えますし、憧れる人も多いですよね。
例えばしょっちゅうテレビに出てる人なんかは成功者と言えます。
最近で言えば大谷翔平、まだ現役ですけどすでにレジェンド級で頂点みたいなもんですよね。
スポーツ界ならイチロー、中田英寿芸能界なら有吉なんかもそうかな。
実業家とかだと本田宗一郎、藤田田とか。
まあとにかくみんなが名前をしっている人って言うのはとんでもない成功者ですし尊敬を集めてるし、光り輝いています。
ただ、彼らだって最初からそういう立場にいたわけじゃなくて、あがったりさがったり多くの挫折を経験して成功者となっています。
運が悪ければ絶望しかない下層でうろうろするしかなく、上にのし上がるどころかただ生き延びることを目的にしなくてはいけない。
上をめざすとかそれ以前の問題なんですね。
つまり認定証というのは地獄中の地獄まで落ちなかった豪運の持ち主という勲章ともいえるかもしれませんね。
穴に持ち込める物の意味
1つだけ自由に持ち込めるということで登場人物たちはそれぞれいろんな物を持って穴に入りました。
ゴレン(ドン・キホーテ)
トリマガシ(刃物)
イモギリ(犬)
ミハル(ウクレレ)
バハラト(ロープ)
これは手持ちのカード、武器でどう戦うかというのを表していますが注目すべきはそれぞれの意味です。
キャラクターの性格や背景、目的を反映しています。
ゴレン:本(ドン・キホーテ)
ゴレンは理想主義者であること、知識と文学に価値を置いていることがわかります。
ドン・キホーテの本はゴレンの内面的な旅と理想を追求する姿勢を象徴しています。
トリマガシ:包丁サムライプラス
トリマガシはサバイバルに対する実用主義者です。
実用主義のことをプラグマティズムといいます。
これは生活に役立つものを第一に考え、それで問題を解決していこうという思想です。
トリマガシは自分を守り、必要なら他人を攻撃するために包丁を選びました。
これはトリマガシの攻撃的な性格と生き残るための手段を反映しています。
イモギリ:犬(ラムゼス2世)
わんちゃんを持ち込んだイモギリは希望を持ち続けている理想主義者です。
犬は彼女の愛情と同情心を表しています。
バハラット:ロープ
バハラットは自由と脱出を求めるキャラクターです。
ロープを持ち込むことで、彼はこの監獄からの脱出を試みます。
失敗しましたけどね。
これは彼の希望や決意を象徴しています。
それぞれの持ち物については他の意味も含まれているかもしれないので
気になる方はぜひ考察したりググったりしてみてください。
まとめ
というわけでプラットフォームの解説でした。
このプラットフォームの設定は本当にうまいですよね。
今の社会って闇の部分はあまり見えないようになっていますが実際はこんな感じですよね。
特にこの数年、貧富の差、社会格差が広がってるから、下手したらこれが現実になりえるかもしれません。
この社会が正常なのか、このままでいいのか、声をあげるべきじゃないのか、世界でも日本でも同じような状況が多くあり、だんだん深刻になってきているから監督はこの作品を作ったのではないでしょうか。
非常に深くて考察しがいのある作品なのでまだ観ていない方はぜひご覧になってみてくださいね。
今はNetflixとアマプラどちらでもみれるのかな?
2はNetflixオンリーなのか先行配信なのかわかりませんがとにかく10月ごろ配信予定になっています。
こちらも楽しみですね。
じゃ今回はここまで!