こんにちは!としひろです。
今回はアカデミー短編映画賞受賞作品「隔たる世界の2人」の感想です。
人種差別をテーマとしている映画ですが30分という短い時間で非常にうまくまとめられています。
島国の日本にはわからない、黒人というだけで差別を受けるあまりにも理不尽な状況が当たり前のごとく存在する世界。
やや極端な面もありますがとても良い勉強になりました。
あらすじ
黒人グラフィックデザイナーのカーターはペリーという女性と一夜の関係を持って彼女のベッドで目覚める。
愛犬ジーターに餌を与えるためにペリーのアパートから出るとニューヨーク市警のメルクがカーターを呼び止める。
タバコの匂い、手持ちの大金など難癖をつけてカーターを拘束し窒息死させる。
次の瞬間、カーターはペリーのベッドで目覚め、現実のような悪夢だったと安堵する。
しかし彼女との会話、街の人達の行動、そしてメリル全てが悪夢と同じように動いていることに気づき、悪夢は現実であり、そして繰り返されていると知る。
ループを繰り返して中でカーターはアパートから出ずペリーと過ごすことに。
しかしそこに機動隊員となったメルクが部屋番号を間違えて突入してカーターを射殺する。
99回殺され続けたカーターはメルクに自ら話しかけ自分に起こっている状況を説明する。
メルクに信じさせ家まで送ってもらうことに成功しようやく愛犬に会えると思った矢先、カーターは拍手をしだす。
ブラボー!最高だったよ!
カーターの説得を称賛し大声でそう叫ぶとメルクは自分もループしていることを明かし、カーターを射殺する。
カーターの血は広がりアフリカの形となっていった。
気づくとまたペリーのベッドの上だった。
世界を隔たる2人感想
人種差別をテーマにしている映画は多くありますが「隔たる世界の2人」は30分という短い時間でとてもうまくまとめられている作品です。
死に戻りループという絶望的な状況の中でカーターが暴力には頼らず対話による平和的な解決策を模索し続けるところがこの作品の最大のメッセージで、結局暴力に頼っては負の連鎖は終わらないということ。(まあ普通の映画なら相手をぶちのめそうとするんでしょうけど)
メルクが状況を理解しながらもカーターを殺し続けるところもこの人種差別の現状をうまく描いていました。
世界でしょっちゅう起こっている理不尽な人種差別は世界中の人が知っているわけです。
問題提起されつづけているし解決しようと動いている人たちもいっぱいいるのになぜか終わらない。
それをメルクという警官のキャラクターに投影させているんですね。
なんて嫌なヤツでひどい警官なんだ!=白人はなんて酷いんだ!と思わせるんです。
酷いやつは人種関係なく酷いんでちょっと黒人側からの目線が強すぎるとは思いますがね。
結末を言うと主人公カーターがループから抜け出せずに終わりますが、それは今もまだ人種差別が根強く残っていることを示しています。
観ている方としてはカーターが愛犬のもとにちゃんと帰れたほうがスッキリするんですが、わざとそうさせなかいのがメッセージなのかなと。
日本でも黒人差別はあるのかもしれませんがアメリカの比ではないですよね。
日本は拳銃も普通に持てないし。
ペリーが黒人女性なら当たり前に銃を持っていると言っていることに恐怖を感じざるを得ません…。
身を護るために銃を持つなんて思考はあまりにも暴力的。
そうさせる社会が悪なのか、それとも…。
この作品の監督はこういうのもおかしいと伝えたかったのかなと考えたり。
エンドロール手前に人の名前がたくさん映し出されます。
最初はスタッフ?キャスト?と思ってみていたんですが、最後の名前が「ジョージ・フロイド」でようやく理解。
その人達はただ普通にそこで過ごしていただけなのに警察官と遭遇して亡くなってしまった方たちだったんです。
ほんとメッセージが強烈過ぎです。
非常にメッセージ性の強い作品ではありますがきちんとエンタメしているので、短編映画を観たことない人やサクッと観れる映画を探している方にはオススメの映画ですよ。
ちなみに以前紹介した「ZION」も11分という短いドキュメンタリー映画なんですがこちらも非常に考えさせられるし、感動させてくれる作品ですので超おすすめです。
人種差別をテーマにしている作品では第9地区がおすすめ。
こちらもNetflixで視聴できます。
感想記事はこちらです。
作品情報
作品名
隔たる世界の2人
原題
Two Distant Strangers
監督
トレイヴォン・フリー(英語版)
マーティン・デズモンド・ロー(英語版)
脚本
トレイヴォン・フリー
製作
ローレンス・ベンダー
ジェシー・ウィリアムズ
クリス・エットウィラー
製作総指揮
マイク・コンリー
ケビン・デュラント
ティナ・エグザロス
サミール・ヘルナンデス
リッチ・クレイマン
ヴァン・レイサン
ニコラス・メイ
ミッキー・メイヤー
マイケル・ノヴォグラッツ
アサン・ステファノプロス
キャスト
ジョーイ・バッドアス
アンドリュー・ハワード(英語版)