今日は日本のホラー映画の中でも屈指の怖さを誇る一本をご紹介します。
『残穢 住んではいけない部屋』という映画です。
2020年に亡くなられた竹内結子さんが主演のミステリーホラー作品で、原作小説は【そばに置いておくだけでも怖い】と言われるほど。
第26回山本周五郎賞受賞作品であり小野不由美(おの ふゆみ)の傑作小説となっています。
個人的にリングや呪怨という日本ホラーの代名詞ともいえる作品と並ぶ素晴らしい日本のホラー映画だっと思います。
非常に生々しく、リアルで不気味で、精神的にやられて、観終わった後の心地よすぎる疲労感はたまりませんでしたね(ドМ)。
残穢 あらすじ
奇妙な「音」の謎は、その部屋の「過去」でつながった。
小説家である「私」のもとに、女子大生の久保さんという読者から、1通の手紙が届く。「今住んでいる部屋で、奇妙な“音”がするんです」。好奇心を抑えられず、調査を開始する「私」と久保さん。すると、そのマンションの過去の住人たちが、引っ越し先で、自殺や心中、殺人など、数々の事件を引き起こしていた事実が浮かび上がる。
彼らは、なぜ、“音”のするその「部屋」ではなく、別々の「場所」で、不幸な末路をたどったのか――。
「私」と久保さんは、作家の平岡芳明(佐々木蔵之介)、心霊マニアの青年・三澤徹夫(坂口健太郎)、そして、「私」の夫・直人(滝藤賢一)らの協力を得て、ついに、数十年の時を経た壮大なる戦慄の真相に辿り着く。
だがそれは、さらなる事件の序章に過ぎなかった――。すべての事件をつなぐ【穢れ】の正体とは?
あらすじ引用 松竹公式より
残穢 感想と評価
とにかく怖い!
これめっちゃ怖いよ(´;ω;`)
登場人物の久保さんが住んでるような一人暮らし用の部屋で住んでる人にはまじで痛恨の一撃すぎる怖さがあります。
一人暮らしの人、マンション住まいで不審な物音がする人、閲覧注意です。
でも最高におもしろい!!
『音』の演出が凄い!
アメリカのホラー映画って来るぞ来るぞ…ドわぁーッッ!!って感じで大きな音と映像でめちゃくちゃビビらせてくるじゃないですか?
この『残穢』は完全に真逆。
『静かな音』『ハッキリと見せない映像』そして作品全体にまとっている『不気味な雰囲気』が見事に作りこまれてて、怖さを爆増させているんです。
僕は夜中にヘッドフォンつけて残穢を観ていたんですが、ぼそぼそっと遠くから声が聞こえたり、右から聞こえたり左から聞こえたり、すぐそばに「なにか」がいると感じさせるんです。
あ、これは来るぞ…やばいやばい…あー怖いのが…
シーーーン(でも背筋がぞわーっ!)
みたいなね。
視覚や聴覚という感覚に訴えかけてくるからこれがめちゃくちゃ怖い!
実話ベースだから余計に怖い
突然ですが、ホラーがお好きな方は稲川淳二の怪談もお好きな方が多いんじゃないでしょうか?
稲川淳二の怪談って実話を脚色したものが多いらしいですが、実話ベースだからこそリアリティがあるんだと思うんです。
それに話術の上手さもあるから怖いしおもしろいし、惹きつけられるんですよね。
残穢は本当にあった怪談、というか原作者の小野不由美が実際に体験したことを小説に落とし込んでいるのでリアリティが半端ないんです。
ウィキペディアで残穢をみると登場人物たちの設定がめちゃくちゃ細かいことに驚きます。
空想じゃなくて実在する人物たちをモデルにしているから細かいの当たり前なんですよね。
実体験を元にしているからこそリアルが垣間見えて怖い。
それから怪談という日本人にはなじみ深いものをテーマにしているのも怖さの大きな要因だと思います。
残穢という作品は日本人が好きな怪談話、最近では「本当にあった怖い話」とか「洒落にならないほど怖い話」って言い方しますけど、これの真偽を確かめていくストーリーです。
怪談、洒落こわという話は2ちゃんまとめとかで読めますし、YouTubeでも動画になっているのも多くて、非常に人気があります。
映画化になっているのもいくつかありますしね。
でもちょっとファンタジーっぽさがあるのも多いし、うさんくさいオカルト話と感じるのもあります。
だからそれ自体を映画化してしまうとちょっとチープな感じになってしまうんですが、この怪談の真偽を確かめていくというのが、自分たち視聴者が作中の出来事を自分事のように感じさせてくれるわけです。
好奇心をくすぐる絶妙なミステリー要素
残穢はまず体験者の話があり、主人公はその話に興味を持ち、なぜその怪異が起こるのか?を体験者と共に調べ始めます。
なぜその場所で幽霊がでるのか?
その場所では昔なにがあったのか?
過去へさかのぼっていくと、ついにホラーマニアたちの間で有名なある一つの怪談に繋がっていくという展開なんですが、この好奇心をくすぐる前半の流れから全てが繋がるラストが気持ちいいくらい見事なんです。
ホラーではあるんですけどミステリー要素が強くて、この点と点が繋がっていく快感はたまりません。
フィクションなのにノンフィクションのように感じさせる監督の手腕
リングや呪怨に並ぶとさっき言いましたが、これらは結構びっくりさせてくるタイプなんですけどリアルさはこちらの方がより強く感じるかもしれません。
その理由はこの作品の監督が中村義洋だから。
中村義洋監督は『ほんとうにあった!呪いのビデオシリーズ』の企画立ち上げ、監修、構成、演出、さらにナレーションまで務めている人で、今や超有名なあのセリフ
『おわかりいただけただろうか』
『…とでも言うのだろうか』
この2つのセリフの生みの親でもあります。
だからフィクション作品でありながらどこかノンフィクションのように感じさせる作品つくりはお手の物というワケです。
映画の最後はきっちりフィクションだとわかるように、ちょっといきすぎたホラーで締めているので、しっかりエンタメ作品としてまとめている中村監督に脱帽です。
まとめ・総評
というわけでネタバレなしでの『残穢 住んではいけない部屋』の感想でした。
作品の肝である怪談もしっかり怖いし、というか怪談話がすごく良くてめちゃくちゃ引き込まれるし、竹内結子のナレーションもまた上手いからヒヤッとした怖さが感じられました。
その怖い怪談とミステリー要素が絶妙に絡んでいて、しかも『音』『映像』による演出が素晴らしくて、日本特有の薄気味悪い『雰囲気』を見事に表しています。
まさに日本のホラーの良いところが全て詰まっていると言えます。
物語が動いていく中盤から後半の展開とホラーシーンはまじで怖くて、鳥肌立ちっぱなしでした。
ホラー映画観てもそんなに鳥肌立たないし、台湾ホラーの呪詛でもこんなことなかったんですけどね(;゚Д゚)。
冒頭からラストまで見事に繋がっていくストーリー展開、演出、構成、キャスティング含め日本のホラー映画の傑作だと思います。
観終わった後に残る恐怖は台湾ホラーの呪詛に通じるものがあります。
まだ観ていない方、ぜひご覧になってみてください。
超おすすめです!